30代の白髪はどうしてなるの?
まだアラサー?もう30代ですよ
年齢と共に増える白髪は、多くの方が悩みを持っています。
今回は、30代になって急に白髪が増えたなど、30代前半からの白髪のお悩みに焦点をあてて、その原因と対策を、皮膚科医が分かりやすくお伝えします。
白髪の発生時期は男女とも30代
日本人の場合の平均的な白髪発生年齢は、男性で34歳、女性で35歳と言われています。
それより前、つまり、10代から30代前半に白髪が増える場合は、若白髪と言われます。
白髪はどうやってできるの?
白髪ができるメカニズムについてまずはご説明します。
毛髪は、毛根にある毛母細胞で作られて成長します。毛髪が作られる際に、色素を含む細胞であるメラノサイトが作り出したメラニン色素が毛髪に取り込まれることで毛髪の色が黒くなります。
つまり、毛母細胞が作り出す毛髪は、もともとは白髪で、メラニン色素によって黒くなるのです。
30代の白髪の原因は?
加齢による白髪の場合、細胞の老化によってメラノサイトの働きがうまくいかずに白髪になってしまうことが考えられます。
一方、30代の白髪の場合は、加齢以外に何かしらの原因によってメラノサイトの働きがうまくいっていない状態で白髪ができる場合も考えられます。
原因は1つではなく、様々な原因が関連していると言われています。
30代の白髪の原因(加齢以外の8要因)
①遺伝
両親のいずれかが若い時から白髪が多い場合、遺伝的な原因が考えられます。ただ、白髪と遺伝の関係については、医学的にはっきりと解明されてはいません。
- 遺伝的にメラノサイトの生存・維持がしにくい
- メラノサイトでメラニン色素が生成されにくい
- メラノサイトで作られたメラニン色素が髪に取り込まれにくい
- 髪の色素の形成・取り込みの過程で遺伝的な原因によって白髪になる
ことがあると言われています。
②栄養不足
食生活の乱れも若白髪の原因の1つになると言われています。極端なダイエットや偏食などによる栄養不足が続くことで髪への栄養が不足して白髪になってしまうことがあります。
黒髪をつくるのに特に重要な栄養素を以下に挙げます。
たんぱく質・アミノ酸
髪の毛の主成分はたんぱく質であるケラチンです。
また、髪を黒くするメラニン色素の主成分となるのが、アミノ酸の一種であるチロシンであり、チロシンを合成する過程には、フェニルアラニンというアミノ酸が必須になります。
チロシンは大豆やチーズ、フェニルアラニンは肉、牛乳、チーズなどに多く含まれています。
ミネラル
ミネラルの中で髪を黒くするのに関わっているものは、銅、ヨウ素です。銅はチロシンをメラニン色素に変える過程で必要なミネラルです。ヨウ素はメラノサイトを活性化させる働きがあります。
銅はナッツ類、魚介類、ドライフルーツなど、ヨウ素は海藻類、魚介類に多く含まれています。
ビタミン
ビタミンの中で、ビタミンB12がメラニン色素をつくるメラノサイトの活性化に関わっています。
ビタミンB12は、かきなどの魚介類やレバーなど動物性食品に多く含まれています。
③ストレス
ストレスがあると自律神経が乱れることで血管が収縮し、頭皮を含め、全身の血行が悪くなります。髪への栄養は主に血液で運ばれるため、血行が悪くなると、栄養素が毛根まで届きにくくなり、白髪の原因となります。
また、ストレスによって増える活性酸素がメラノサイトの活動不全を引き起こすこともあります。
④睡眠不足
睡眠の質の不足、量の不足などがあると、自律神経が乱れる要因になります。そのため、ストレスの場合と同様、白髪の原因となることがあります。
⑤紫外線
紫外線を多く浴びることで、肌で活性酸素が増えます。活性酸素が増えると肌の細胞や遺伝子が正常に働きにくくなり、肌の老化が進みます。
それによってメラノサイトの働きもうまくいかなくなり、白髪の原因になります。
⑥ホルモンバランスの変化(特に妊娠・出産)
女性の場合、30代で妊娠・出産を迎える方も多いです。
妊娠や出産(授乳)は胎児に栄養が必要なことから、必要な栄養素が不足しがちになります。特に白髪の原因・防止に効果のある栄養素の多くは、妊娠時にはたくさん必要になります。
また、妊娠による環境の変化や出産後の育児などによるストレスが白髪の原因となることがあります。
⑦喫煙
喫煙が白髪の原因になることがあります。喫煙はメラノサイトを活性化するビタミンB12を壊し、また、白髪の原因となる過酸化水素を分解してくれるビタミンCも破壊します。
アメリカの研究報告では、喫煙者は非喫煙者と比較して4倍以上白髪の発生率が高いとも言われています。
⑧病気
白髪が急激に増えた場合は、以下のような病気の可能性もあります。ご心配な場合は医療機関に相談しましょう。
- 甲状腺疾患:甲状腺ホルモンの分異常によって起こる病気。
- 悪性貧血:胃粘膜の萎縮による内因子の低下により、ビタミンB12が不足することで生じる貧血。
- 尋常性白斑:皮膚色素をつくるメラノサイトが様々の原因により減少・消失する皮膚疾患。
- フォークト・小柳・原田病:血液中の白血球の一つであるリンパ球が、メラニン色素をもった細胞(髄膜、ぶどう膜、皮膚、頭髪、内耳など)を攻撃する病気。
30代からでもできる、白髪対策!
食生活を見直しましょう
ビタミン・ミネラル・たんぱく質・炭水化物・糖質・食物繊維を6大栄養素と言いますが、これらをバランスよくとるようにしましょう。
特にその中でも前項で記載したように、たんぱく質、ミネラル、ビタミンを積極的にとるようにしましょう。
②リフレッシュする時間を持ちましょう
ご自身に合った形で、リフレッシュの時間を持ちましょう。
運動や音楽を聴くこと、趣味の時間を持つことなども良いです。リフレッシュすることで頭皮を含めた全身の血流も良くなります。
③適度な睡眠時間を持ちましょう
夜更かしを避けて、早寝早起きを心がけましょう。
④紫外線対策をしましょう
外出する時にはできるだけ帽子や日傘を使って、髪に紫外線が当たるのを避けるようにしましょう。髪の毛用の紫外線スプレーも効果的です。
⑤禁煙しましょう
喫煙は白髪に影響するだけでなく、体の健康にも影響を及ぼします。最近は医療機関で禁煙治療もできます。禁煙をするようにしましょう。
白髪が増えてしまったら?
それでも白髪が増えてしまった場合は、ついつい気になって白髪を抜いてしまいがちですが、白髪を抜くことは避けるようにしましょう。白髪を無理に抜くと、毛根が傷つく原因となり、抜いた毛根から髪の毛が生えてこなくなる可能性があります。
白髪が増えてしまって気になる場合は、
- 白髪を根元から切る
- カラートリートメント
- ヘアマニキュア
- ヘアカラー
をお勧めします。
4のヘアカラーは薬剤の影響でアレルギーが出ることがあります。カラートリートメントやヘアマニキュアは毎日の生活に取り入れやすいので、試してみてはいかがでしょうか。
白髪染めカラートリートメントは使うほど徐々に染まる
白髪染めのカラトリートメントとは、ヘアマニキュアやカラー剤とは異なり1回では染まりません。染まる力が弱いので、失敗もすくなく手軽に初心者も始めやすいでしょう。
連続使用することで徐々に染まってきます。
30代の白髪対策の基本は健康な体と心
生活を見直すきっかけにしてください
今回は30代前半から増える白髪の原因と対策についてお伝えしました。
白髪対策の基本は、健康な体と心にあります。
ご自身の生活を振り返りながら、自分の体と心のためにできるひと工夫を考えてみましょう。
参考:日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/modules/public/index.php?content_id=1