髪質が変化したり毛量が変わるのはなぜ?
医師が髪の構造、仕組を解説します
普段何気なく手入れをしている髪の毛ですが、毛の質が変化したり、髪の毛が抜ける量が増えたり、白髪が増えたりなど、髪の毛に変化が起こると気になるものです。
健康な髪の毛を保つためにも、髪の毛について、知っていることが重要になります。そもそも髪の毛はどのような成分、構造でできているのでしょうか。
今回は、髪の毛の成分と構造について、分かりやすく説明します。
髪の毛の成分
髪の毛の主成分は、ケラチンというがタンパク質です。ケラチンは18種類のアミノ酸で作られており、シスチンというアミノ酸が多いのが特徴です。
残りは脂質、メラニン色素などです。メラニン色素によって髪の毛の色が黒くなります。
髪の毛の構造
髪の毛は「毛根」で作られます
髪の毛は、頭皮から出ている部分を「毛幹」、頭皮の中にある部分を「毛根」と呼びます。
毛根の一番奥の「毛球」という部分で、「毛乳頭」が毛細血管から血液を取り込んで、「毛母細胞」に渡され、細胞分裂を繰り返すことで、それが押し出されるかたちで髪の毛がつくられています。
もうぼ細胞で髪の毛がつくられる際に、「色素幹細胞」から作られた「メラノサイト」という細胞が毛根に取り込まれて、メラノサイトが「メラニン色素」を作ることで髪の毛の色が黒くなります。
「毛幹」は死んだ細胞です
私たちが目にする髪の毛は毛幹の部分であり、すでに死んだ細胞なのです。
毛根で毛母細胞が活発に細胞分裂することで、押し出されるようにして毛幹の髪の毛は伸びていきます。
髪の毛は、1日に約0.3~0.4mm、1年間に10cm以上成長すると言われています。
髪の毛の健康のために
髪の毛の栄養
髪の毛の栄養は、毛根で取り込む血液によってまかなわれています。
そのため、髪の毛の健康のためには、血液に十分な栄養が含まれていることと、毛根に十分な血流があることが重要になります。
血液の栄養分の改善
血液の栄養分は、日々の食事によって影響を受けます。そのため、血液の栄養分をよりよくするために、バランスのよい食事を心がけましょう。
特に、髪の毛の主成分であるケラチンのもととなるたんぱく質、メラノサイトの活性化を助ける亜鉛、チロシン、ヨードなどを含めた食事をお勧めします。
主な食品
- たんぱく質:肉、魚、卵、豆類など
- 亜鉛:牡蠣、レバー、牛肉など
- チロシン:チーズ、納豆、豆腐、バナナなど
- ヨード:ひじき、わかめ、のり、とろろ、もずくなど
頭皮の血流の改善
次に、頭皮の血流の改善のためには、以下のようなことをお勧めします。
①ストレスを避ける
ストレスは、全身の血流の悪化、活性酸素の増加を招き、頭皮への血流も低下してしまいます。できるだけストレスをためないようにして、ストレスが溜まってしまった時は、リフレッシュする時間を持つようにしましょう。
②規則正しい生活(睡眠、運動)
特に、睡眠不足、運動不足は全身の血流の悪化を招きます。そのため、早寝早起き、定期的な運動を心がけましょう。
③禁煙
喫煙も全身の血流の悪化を招き、様々な健康被害をもたらします。できるだけ禁煙を目指しましょう。
④頭皮マッサージ
頭皮のマッサージは、頭皮の血流改善のために効果的です。洗髪の際に行うなど習慣化すると、ご自身で手軽に行うことができます。
髪の構造まとめ
健康によい生活習慣が頭皮環境改善につながる
今回は、髪の毛の成分と構造について解説しました。
髪の毛の成分と構造が分ると、髪の毛の健康のためにできることが見えてきます。髪の毛の成分に合わせたバランスの良い食事と、髪の毛の健康を保つ血流と血液の改善のためのひと工夫についてもお話しました。
髪の毛のことをよりよく知って、健康な髪の毛を保ちましょう。