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髪質の遺伝は母方というのは本当なのか皮膚科医が解説します

白髪について

髪質は遺伝するの?

現役皮膚科医がどこまで遺伝するか解説します

私たちの体は、小さな細胞が無数に集まってできています。細胞には遺伝子が含まれています。遺伝子は、両親の遺伝子を半分ずつ受け継いでできています。その遺伝子によって、1つ1つの細胞がつくられます。

髪の毛も同様です。髪の毛1本1本は、髪の毛の根元にある毛母細胞から作られていますが、毛母細胞に含まれる、両親から受け継いだ遺伝子によって髪の毛がつくられます。

そのため、髪質は遺伝すると言えます。

遺伝子には、常染色体と性染色体があります。

常染色体は、両親から半分ずつ受け継ぎます。常染色体には、優性遺伝と劣性遺伝があり、優性遺伝子と劣性遺伝子が組み合わされた場合は、優性遺伝子が優先的に遺伝します。

くせ毛は遺伝する?

赤ちゃん、遺伝

くせ毛については、優性遺伝と言われています。

つまり、両親のどちらかがくせ毛であり、くせ毛の親の優性遺伝子を受け継げば、くせ毛になる可能性が高くなります。両親ともくせ毛の場合は、よりくせ毛になる可能性は高くなります。

一般的に、子供がくせ毛になる確率は、片親がくせ毛の場合は約30~40%、両親ともくせ毛の場合は約70~80%と言われています。

ただし、遺伝子による影響は100%ではなく、髪の手入れの仕方や生活習慣も関わって髪質がつくられます。それについては後述します。

薄毛は遺伝する?

薄毛については、様々な原因がありますが、今回は特に男性の男性型脱毛症(AGA)を挙げます。

AGAのメカニズムは?

AGAには、男性ホルモンの活性が関わっていると言われています。
男性ホルモンの1つである「テストステロン」が、「5aリダクターゼ」の作用により、より活性化した「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変化します。

HTが毛母細胞にある「アンドロゲンレセプター」と結合することで、毛母細胞の細胞分裂を抑制させます。その結果、髪の発毛と育毛が阻害されてAGAが起るようになります。

AGAは遺伝するの?

前項でAGAに関わるいくつかの用語が出てきましたが、以下は遺伝子によって個人差があることが分かっています。

  1. 5aリダクターゼの活性の高さ:5aリダクターゼの活性が高いほどテストステロンがDHTに変化しやすくなります。
  2. アンドロゲンレセプターの感受性の高さ:アンドロゲンレセプターの感受性が強いほどDHTが毛母細胞に影響しやすくなります。

①にかかわる遺伝子は、優性遺伝によって受け継がれると言われています。そのため、両親どちらからも受け継がれる可能性があり、また、両親から受け継ぐ遺伝子の組み合わせによっても確率が変わってきます。

②に関わる遺伝子は、母親から受け継ぐ性染色体(X染色体)にあると言われています。

ただし、女性が遺伝によってAGAを発症する確率は低いと言われています。ご自身が男性であり、母方の祖父がAGAを発症していた場合は、ご自身がAGAを発症する確率が高くなります。つまり、母方からの隔世遺伝という形になります。

つまり、髪質の中で、くせ毛、薄毛はいずれも遺伝的要素があります。

くせ毛は優性遺伝のため、両親どちらの影響も受けます。薄毛は優性遺伝の面と、性染色体による隔世遺伝の面があるため、薄毛の一部の要因は母方からの遺伝の要素があると言えます。

髪質は遺伝だけなの?

髪質は100%遺伝で決まるわけではありません。
成長するにつれて髪質が変わることも良くあります。
髪質には、以下のようなものも関わっていると言われています。

  • ヘアケアの仕方
  • 食生活
  • 睡眠
  • ストレス、疲れ
  • 紫外線

遺伝については避けることができませんが、ヘアケアや生活習慣の改善によって髪質を改善する余地は十分にあります。

ヘアケアの仕方

頭皮の乾燥度や発汗量に合わせて洗髪回数を決めましょう。洗髪の際は爪を立てて頭皮をこするのを避けて、指の腹で頭皮をマッサージしながらやさしく洗いましょう。

カラーリングやパーマは、頭皮や髪に負担がかかりすぎないように頻度を調節しましょう。

食生活

バランスの良い食事と、決まった時間の食事を心がけましょう。特に髪の成長に必要なたんぱく質、ミネラル、ビタミンをしっかり摂ることを心がけましょう。

睡眠

髪の成長には成長ホルモンの分泌が関わっています。また、成長ホルモンの分泌には、自律神経のうちの副交感神経が関わっていると言われています。

副交感神経は、夜間睡眠時(特に22時~2時の間)に最も活発に機能すると言われています。つまり、髪の成長は、22時から2時の睡眠時に最も進みます。できるだけ22時~2時の時間帯はしっかり睡眠をとることが重要になります。

ストレス・疲れ

ストレス

ストレスや疲れは、頭皮の血流の悪化、自律神経やホルモンバランスの乱れなどを引き起こし、髪の毛の成長にも支障をきたします。そのため、ストレス、疲れを出来るだけためないように、リラックスする時間を持ちましょう。

紫外線

長期的に多くの紫外線を浴びることは細胞の老化につながると言われています。頭皮や髪についても同様です。外出時には帽子を着用したり、紫外線をカットするスタイリング剤を用いたりするなど、紫外線対策をしっかり行うようにしましょう。

髪の遺伝の影響

遺伝以外の要素も大きいです

髪質の遺伝と改善する対策方法について記載しました。

髪質の遺伝的要素は避けることはできません。しかし、遺伝以外の要素も大いにあります。ヘアケアや生活習慣の見直しによって、髪質の改善を目指しましょう。

また、さらなる改善方法としては、くせ毛については美容院での専門的な処置、薄毛については医療機関での専門的治療も可能です。
髪質のお悩みが続く場合は、相談してみましょう。

参考サイト
公益社団法人日本皮膚科学会
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