白髪が黒髪と比べて太くて目立つのは気のせい?
現役医師が白髪の仕組みを解説します
黒髪の中に白髪が目立つようになると、誰もが気になるものです。
白髪が黒髪に戻らないかなと期待することもあると思います。
そもそも、黒髪がどうして白髪になるのでしょうか。また、白髪と黒髪にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、黒髪と白髪の違いに焦点を当てて現役の皮膚科医が解説します。
黒髪と白髪のことをよりよく知ることで、髪の毛の変化とうまく付き合っていけるようにしましょう。
黒髪になるメカニズム
まずは、黒髪が作られるメカニズムについて解説します。
毛髪は、毛根にある「毛母細胞」で作られて成長します。毛髪が作られる際に、色素を含む細胞である「メラノサイト」が作り出したメラニン色素が毛髪に取り込まれることで毛髪の色が黒くなります。
つまり、毛母細胞が作り出す毛髪は、もともとは白髪で、メラニン色素によって黒くなるのです。
どうして白髪になるの?
黒髪が作られるのに重要な役割を果たしているメラノサイトは、「色素幹細胞」から作られます。
白髪になる要因としては、主に以下があります。
- 色素幹細胞が老化・劣化して、メラノサイト自体が作られなくなる
- メラノサイトは作られるが、メラノサイトがうまく働かずにメラニン色素が作れなくなる。
つまり、メラノサイトが作られる過程に問題があるか、メラニンからメラニン色素が作られる過程に問題があると白髪になってしまいます。
白髪が増える原因は?
色素幹細胞、メラノサイトの機能不全を起こす原因に関与するものとしては、主に以下のようなものが言われています。
- 加齢
- 栄養不足
- 運動不足
- 睡眠不足
- ストレス
- 喫煙
- 遺伝
そのうち、加齢による白髪が最も多いと言われています。
黒髪と白髪の違いは?
メラニン色素の有無
黒髪と白髪の最も大きな違いは、色の違いです。黒髪の色は、メラノサイトが作るメラニン色素によるものです。メラニン色素があるかないかが、黒髪と白髪の最も大きな違いです。
その他にも黒髪と白髪の違いはあるのでしょうか。
資生堂と北里大学の研究結果(2004年)によると、以下のようなことが言われています。
①白髪の発生率には部位によって差があり、特に後頭部では少ない。
https://corp.shiseido.com/jp/newsimg/archive/00000000000470/470_n0m42_jp.pdf
②白髪の直径は黒髪よりも太い(平均値比較)。
③白髪の伸びる速度は黒髪よりも速い(平均値比較)。
④成長期にある白髪の比率は、黒髪よりも高い(平均値比較)。
⑤白髪の断面の形状は、黒髪よりも偏平な傾向にある。
上記によると、白髪は黒髪と比較して、分布に偏りがあり、偏平で太く、成長が早いということが分かります。
それに加えて、白と黒のコントラストも合わさり、白髪は目立ちやすいと言えます。
白髪が黒髪に戻ることはあるの?
白髪になるのにはメラノサイトが関与していますが、色素幹細胞の劣化・老化によってメラノサイトがもともと作られない場合、白髪が黒髪に戻ることはありません。
一方、メラノサイトはあって毛母細胞に取り込まれるけれど、メラノサイトからメラニン色素が作られない場合は、メラノサイトの機能が回復すれば、白髪が黒髪に戻る可能性はあります。
メラノサイトの機能回復のためには?
メラノサイトの機能回復のためには、前述の白髪の原因として挙げた、栄養不足、運動不足、睡眠不足、ストレス、喫煙などを解消することが重要になります。
バランスの良い食事を心がけましょう
特に、毛の主成分であるケラチンのもととなるたんぱく質、メラノサイトの活性化を助ける亜鉛、チロシン、ヨードなどを含めた食事をお勧めします。
その他の生活習慣改善
- 適度な運動、睡眠をとりましょう。
- ストレス、疲れをためないようにしましょう。
- 禁煙を心がけましょう。
メラノサイトの機能回復のためには、生活習慣の改善が鍵になると言えます。白髪の予防のために、身近なところから少しずつ改善していくようにしましょう。
白髪と黒髪の違いのまとめ
健康的な生活習慣が白髪予防につながる
今回は黒髪と白髪の違いについて解説しました。
白髪ができるメカニズムには、メラニン色素を作るメラノサイトが関わっています。また、白髪には、黒髪よりも太い、成長が早い、分布に偏りがあるなどの特徴が言われています。
また、白髪を予防には、生活習慣の改善が重要になります。生活習慣を変えていくのはなかなか難しいことですが、白髪の予防のための努力は、体の健康にもつながります。毎日の生活の中でできるところから取り組んでいくようにしましょう。
もし、実際に白髪が目立つようになってしまった場合は、染めるという方法も解決策になりますので、白髪が増えることでさらにストレスを抱えないようにしましょう。